絵本のデザイン｜見開きでイラストを描くポイント

絵と言葉で読者をおはなしの世界に引き込まれる絵本。中には、文章を読まなくてもイラストだけで内容が伝わる絵本もあります。

より面白く、魅力的な絵本にするためには、見開きにどのような場面のイラストを配置するかも重要です。

よりすてきな絵本になる、見開きページの作り方をご紹介します。

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読者の視線の動きを意識して見開きページを作ろう

皆さんは「グーテンベルク・ダイヤグラム」という言葉を知っていますか。

右上、右下、左上、左下の4つの領域があったとき、人の視線は左上から右下に斜めに流れます。左上と右下はしっかり見ますが、左上と左下はチラッとしか見ません。この動きがグーテンベルク・ダイヤグラムです。

本の場合は、ページを開いた側の上から反対側（次に開くページ）の下へと向かうので、この目の動きを意識して見開きのイラストを描いたり、文章を配置すると、読者に印象深いイメージを持ってもらえます。

またこの法則にしたがうことで、読みにくさを感じず、流れるように読書を進められます。

例えば、読者に覚えていてほしい要素や、驚かせたい要素を左上に配置したり、「これからどうなるのだろう？」と期待を抱かせる要素を右下に配置すると、読者は自然と本の世界に引き込まれるのです。

強いインパクトを与える「見開き+裁ち落とし」

見開き、裁ち落としで大きなイメージを配置したA4無線綴じ製本の絵本（ブックホンの印刷事例）

「裁ち落とし」とは、ページの端まで写真やイラスト、背景が配置されているレイアウトのことです。

通常は紙面の上下と小口側には数ミリの空白がありますが、裁ち落としは空白を残さず、フチ無しの紙面になります。

左右のページに広がる見開きの紙面にイラストを大きくレイアウトし、裁ち落としにすることで、紙面の外までイラストが広がっているような印象を与えられます。

ここぞという場面や物語が盛り上がる場面で大胆に使うと効果的です。

紙面で「未来と過去」を表現する

左綴じの絵本。セピア階調とフルカラーを使い分け、ストーリーテラーと挿絵がわかりやすくどちらも印象的（ブックホンの印刷事例）

文章が横書きの絵本は、左側が閉じられた「左綴じ」、縦書きの絵本は右側が閉じられた「右綴じ」です。

左綴じが絵本は多いので、ここでは左綴じを前提にお話しします。

絵本が左開きの場合、読者は自然と、絵本の向かって右に「話の先、未来」をイメージしています。

ですから、動きを表すイラストは「対象がどこかへ行く」なら右に向かって進むように描き、「対象がどこかから戻ってくる」なら左に向かって進むように描くと読者がすんなり理解しやすいです。

また、時間の経過を見開きページを使って一枚のイラストで表したい場合も左に過去、右に未来を描くと、特に説明はなくても読者は「時間の経過」をイメージします。

皆さんが持っている絵本もよく観察すると、こういう仕掛けで描いてあるはずです。ぜひ参考にして、絵本作りに生かしてくださいね。

右綴じか左綴じか？縦書きか横書きか？迷わず選べる綴じ方ナビ【冊子印刷】

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