読みやすい小説は段組みなし？2段組？プロが教える段組みの決め方

小説を印刷して本にするなら、途中で飽きることなく、夢中になって最後まで読破してもらいたいもの。

作り手の思いは皆同じです。本を作る過程の中で、紙の選択や行間、フォントなどいろいろな面から「読者が読みやすい本を」と多くの人が考えているでしょう。

そのなかで気になるのが、小説のレイアウト。
段組みがないほうがいいのか、2段組のほうが良いのか、迷っていませんか？

段組みのあるなしの決め手は「読者の好みと慣れ」

小説を読む時、段組みがあるほうが読みやすいのか、ないほうが読みやすいかは個人の好みが大きく左右しますが、「慣れ」ているかどうかも大きく影響します。

段組みがない文庫本を読むことが多い読者にとっては「段組みがあると目線の動かし方に慣れるまで時間がかかる」「本を開いたとき、文字がたくさんあって怯む」と感じるでしょう。

一方、普段から段組みがある厚手の本を読むことが多い読者にとっては「段組みがないと物足りない」「すぐ読み終わってしまいそう」だと感じます、

文庫本で出版されることが多いライトノベルやベストセラー小説のような比較的「読みやすい小説」を読む機会が多い人は段組みのない本に慣れています。しかし、新刊で出版されるハードカバーや読み応えのあるミステリ、文学作品などを手にすること多い人は2段組みに慣れているのです。

本のサイズが大きくなると2段組になる

私たちは1行の文字数が40文字前後までなら、難なく文章を読み進むことができます。
しかし、50文字を超えてくると、途中でどこを読んでいるのかが分からなくなることが多く、集中力が削がれて読む気を失います。

文庫本はフォントが9pt前後、1行が37文字から41文字でレイアウトされるため、段組みが必要ありません。
しかし新刊の小説は、四六判という127mm×188mm（B6より少し大きめ）のサイズや、菊版150㎜×220mm（A5より少し大きめ）で発行されることが多く、特に菊版になると2段組が多く見られます。これは、菊版の大きさでは2段組にしないと1行の文字数が多くなりすぎて読みにくくなるためです。

段組みとサイズは「文字数とジャンル」で決めよう

文字数から段組みを考える

文字数が多いのに段組みなしのレイアウトで印刷すると、当然ながらページ数が多くなり、本が分厚くなります。すると、持ち歩きにくく、重さもある本になるため手に持って読むのが大変になり、本を開いたときに背表紙が割れやすくなるというデメリットがあります。

ページ数が増えると印刷費もかさむため、1冊あたりの単価も高くなります。

本のサイズから段組みを考える

大きめのサイズの本にして段組みを作ると、1ページにたくさんの文字を印刷できるため、ページ数を抑えることができます。本が薄く軽くなり、印刷費用も1冊あたりの単価も抑えられるメリットがあるのです。

ちなみに、文庫本1冊は原稿用紙300枚程度が目安。文字数にすると10万文字くらいです。
20万文字前後になるようなら、菊版もしくはA5にして2段組にするのがおすすめ。

本のジャンルから段組みを考える

サイズ、文字数をふまえつつ、読者の「慣れ」を考慮しましょう。
例えば、印刷したい小説がライトノベルなら、段組みのない小説を読み慣れている人が読者となります。そのため、文字数が多くなったら文庫本サイズ・段組みなしのレイアウトにし、上下巻に分けると良いでしょう。

四六判や菊版での印刷を希望される場合、ブックホンでは「カスタムサイズ」を選択して、仕上がりサイズを指定します。もちろん、定型にはないオリジナルサイズでの印刷製本も可能です。

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